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山吹薫は目の前に座る石峰優璃を眺めつつ、なぜ彼女がいつもと違うように見えてしまうのか。そんなことを考えていた。
どうした?そんなにじっと見つめて。私の顔に何かついているか?それよりも話の続きをしようか。血液ガスは全身の状態を把握するために必要な情報、そしてそこにあるのが呼吸性と代謝性のアシデミアやアルカデミアということだったな。
いえ。なんでもありませんよ。そしてそれらに関してというか何事にも原因がある。そしてその状態が示す病態があるのでしたね。
もちろんそうだ。そしてそれにはリハビリテーションが関わる部分もまたある。全身状態の安定もまた積極的なリハビリテーションを行う基準ともなるし、そのタイミングや他職種での相談を行う上で自分自身もある程度は理解しておく必要がある。
石峰はゆっくりと笑みを浮かべる。あぁそうだと山吹はそう思った。彼女はいつだって僕より遠くを見ていた。それがしっかりと僕を見ている。僕の中を覗くように視線を伸ばしている。
教科書的には、例えばアルカデミアならば体にある酸性の物質が喪失してしまう状況、過度の嘔吐や利尿、低カリウム血症で生じる代謝性のアルカデミア、そして過換気症候群を代表とする呼吸性のアルカデミアですね。
ふむよいな。なら逆にアシデミアは体の中に酸性の物質が溜まってしまう、もしくは排出できない状況でもある。代謝性アシデミアならば敗血症性ショックに伴う末梢の過度は嫌気性代謝の結果として、そして高度の腎不全による排出の困難といった状態、そして呼吸性のアシデミアは気管支喘息の重責発作、COPDの急性増悪といった呼吸不全、原因にもよるが呼吸不全に大きく関係しているよ。そしてこれに関しては私たちもまた介入できる余地があると私は思うね。
呼吸性アシデミアということは体内にCO2が排出されずに残ってしまう。つまりはそれを喀出できないこと、そしてガス交換が阻害されているわけですから、呼吸リハビリテーションもまた重要になりますね!。
そうだ!と石峰はいつもと違う笑みを浮かべる。そしていつもと違うのは主任は楽しそうにしている。僕の返答に指摘することもまた少ない。
高度の呼吸不全の状態、特に超急性期ではその対応もまた求められる。例えば気管支喘息の重責発作だとしても治療に伴う症状の改善と呼吸指導、生活指導は必要だしそれはまたCOPDもまた同様だ。また高度の誤嚥性肺炎に伴う喀痰の貯留、無気肺の形成もまた体位ドレナージは必要だし、ARDSにだって他職種と共同で腹臥位療法が効果的だったりする。
それはまた、普段行う呼吸リハビリテーションをより治療の一助として行うことができますね。腹臥位療法のように効果的・・・ということは目の前にいる患者様の救命・・・にもつながるのですね。
そうだな。生命予後、健康予後を伸ばすための我々のリハビリテーションであるが、こういった場所では直接的に目の前にいる患者に対しての救命につながると私は思っているよ。
そうですか。と山吹は胸の内が高揚してくるのを感じる。しかし石峰はまるで少女のように笑うことが少なくなっている。それはなんだか気になった。
山吹薫の覚書 95
・アシデミアは主に酸性の物質が過剰に生成されるか、その喀出困難。アルカデミアはそれが過小となるか過度に排出されてしまう。
・特に呼吸性アシデミアを起こす病態に関しては、呼吸リハビリテーションが関与する場面も多い。そしてそれは多くが救命につながる。
・なぜ主任はわざとらしい笑みしか浮かべないのだろうか?
【〜目次〜】
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